筋肉痛のときに筋トレしていい?

筋肉痛(DOMS)の正体と治るまでの目安、筋肉痛が残っているときのトレーニングの考え方、受診したほうがいいサインを、公的機関・医療機関の資料と論文をもとにまとめました。

このページについて

筋肉痛(遅発性筋肉痛、DOMS)が残っているときに筋トレをしてよいかを、公的機関・医療機関・大学の解説と査読付き論文をもとに運営者がまとめたページです。文章は要約・言い換えで、番号はページ下の出典に対応しています。

先に結論

筋肉痛(DOMS)の正体

筋トレのあとに遅れて出てくる筋肉痛は、医学的には「遅発性筋痛」と呼ばれます[2]。筋肉が引き伸ばされながら力を出す動き(伸張性収縮)で起こりやすく、スクワットでしゃがむとき、ダンベルをゆっくり下ろすとき、坂や階段を下りるときなどがこれにあたります[1][2]。

原因は、筋線維やまわりの組織に小さな傷がつき、その修復の過程で起こる炎症や、痛みを起こす物質のはたらきと考えられています[1]。ただし、しくみはまだはっきり解明されていません[2][3]。研究のまとめでは、筋肉の損傷や炎症など、いくつかの説を組み合わせて説明できる可能性が高いとされています[3]。

なお、昔よく言われた「乳酸がたまって筋肉痛になる」という説は、現在では否定的に考えられています[1]。

回復の目安

回復の早さには個人差があり、運動の内容や慣れによっても変わります。同じ運動をくり返すと筋肉痛は起こりにくくなることが知られていて(繰り返し効果)、ふだんしていない運動や、久しぶりの運動ほど筋肉痛が出やすいと考えられています[2]。

筋肉痛のときに筋トレしていい?

研究のまとめ(Cheungら 2003)では、毎日トレーニングをする必要があるアスリートは、強い筋肉痛を起こした運動のあと1〜2日は運動の強度と時間を減らすか、影響の少ない部位のトレーニングをして、筋肉痛の強い部位を回復させることがすすめられています[3]。米国の医療機関Cleveland Clinicも、筋肉痛のある筋肉で強い運動をするのは避け、強度を落としたり別の部位を鍛えたりすることを紹介しています[6]。

理由のひとつは、筋肉痛があると関節の動く範囲や発揮できる力が落ち、ほかの筋肉でかばう動きになりやすいことです。これが、無理に元の練習に戻したときのけがのリスクを高める可能性があると指摘されています[3][6]。

一方で、腕の筋肉(肘を曲げる筋肉)に筋肉痛を起こす運動をしたあと、2日後と4日後に同じ運動をくり返しても、筋肉の損傷や回復が悪化しなかったという実験もあります[4]。ただし、腕の1種目だけを調べた研究で、どんな種目・重さでも同じとは言えません。

実際の組み方の例

※上の組み方は、出典の内容をもとにした運営者のまとめで、医学的な基準ではありません。

筋肉痛をやわらげるには

筋肉痛は傷ついた組織の修復の過程で起こるため、ストレッチや軽いマッサージ、軽い運動、ぬるめのお湯での入浴など、血行をよくすることがすすめられています。バランスのよい食事と十分な休養も大切です[1]。

99の研究をまとめたメタ分析では、軽く体を動かす回復(アクティブリカバリー)、マッサージ、着圧ウェア、水につかる方法などで筋肉痛が小さくなり、なかでもマッサージがもっとも効果的だったと報告されています[5]。ただし、軽い運動で痛みがやわらぐ効果は一時的とされています[3]。睡眠も回復に欠かせません(睡眠の話)。

筋肉痛がない=効いていない?

そうとは限りません。筋肉痛がなくてもトレーニングは効果がありうるとされていて、「痛みがなければ成長しない(no pain, no gain)」は必ずしも正しくないと医療機関が解説しています[6]。慣れた種目で筋肉痛が出にくくなるのは、上の「繰り返し効果」でも説明できます[2]。筋肉痛を目標にするより、重量や回数の記録が伸びているかで判断するのが無難です(1RM計算)。

受診したほうがいいサイン

次のような症状があるときは、筋トレを中止して医療機関を受診してください。

  • 尿がコーラ色・紅茶色・赤褐色など、ふだんより明らかに濃い(または赤い)[6][7][8][9]
  • 予想よりはるかに強い筋肉の痛み、力が入らない、いつもの運動や作業ができないほどだるい[7][8]
  • 筋肉のまわりの強い腫れ[6][8]
  • 動かせない・使えないほどの痛み、鋭い痛みが続く[6]
  • 痛みが1週間以上続く、休んでもよくならない[6]
  • 尿の量が減る、手足のしびれ[8]

尿の色が濃いときに疑われるのが横紋筋融解症です。筋肉が大きく壊れて、中の成分(ミオグロビンなど)が血液に流れ出し、腎臓に負担がかかって急性腎障害を起こすことがある病気です[8][9]。激しい運動、慣れない運動、長時間の運動、くり返す運動、高温多湿での運動が起こりやすくする要因とされています[9]。筋肉痛・筋の脱力・赤褐色尿が典型的な症状として挙げられています[9]。

症状は運動の数時間〜数日後に出ることもあり、脱水や熱けいれんなどとも似ているため、症状だけでは判断できません。診断には血液検査(CK)が必要とされ、早く治療を始めるほど回復しやすいとされています[7]。厚生労働省のマニュアルでも、症状に気づいたら直ちに受診するよう説明されています[8]。

心配なときは、自己判断せずに医療機関へ相談してください。

このページは健康な成人向けの一般的な情報で、医療的な助言ではありません。持病のある人、薬を飲んでいる人、けがをしている人、体調に不安がある人は医師に相談してください。休む日の考え方とオーバートレーニングのサインは休養と回復の話にまとめています。

出典

  1. 筋肉痛の予防と治す方法|健康長寿ネット(公益財団法人 長寿科学振興財団)
  2. 筋肉痛とは?|健康スポーツネットワーク(宮崎大学医学部 整形外科)
  3. Cheung K, Hume P, Maxwell L. Delayed onset muscle soreness: treatment strategies and performance factors. Sports Med. 2003;33(2):145-164.
  4. Nosaka K, Newton M. Repeated eccentric exercise bouts do not exacerbate muscle damage and repair. J Strength Cond Res. 2002;16(1):117-122.
  5. Dupuy O, Douzi W, Theurot D, Bosquet L, Dugué B. An evidence-based approach for choosing post-exercise recovery techniques to reduce markers of muscle damage, soreness, fatigue, and inflammation: a systematic review with meta-analysis. Front Physiol. 2018;9:403.
  6. Delayed Onset Muscle Soreness (DOMS)|Cleveland Clinic(米国の非営利医療機関)
  7. Signs and Symptoms of Rhabdomyolysis|CDC(米国疾病予防管理センター)/NIOSH
  8. 重篤副作用疾患別対応マニュアル 横紋筋融解症|厚生労働省(PDF)
  9. 石川 勲. 運動後の急性腎障害. 日本内科学会雑誌. 2014;103(5):1101-1107.(J-STAGE)

確認日:2026年10月21日。内容は運営者が各資料を要約・言い換えたものです。正確な内容は各出典をご確認ください。本ページは各出典元とは関係がなく、監修・推薦を受けたものではありません。