3行まとめ
- たんぱく質を上乗せして摂る効果を調べたランダム化比較試験82件(112の介入群、3940人、19〜87歳)をまとめ、筋トレをしている場合としていない場合に分けて筋力への効果を調べたメタ解析。
- 筋トレと組み合わせると、たんぱく質を上乗せした群は筋力の伸びが平均2.01%大きかった(95% CI 1.09〜2.93)。一方、筋トレなしでは差がなかった(0.13%、95% CI −1.53〜1.79)。
- 筋トレありでは、1日の総たんぱく質摂取量(食事+補給)が体重1 kgあたり0.1 g増えるごとに筋力が0.72%ずつ増えたが、1.5 g/kg体重/日を超えるとそれ以上の上積みはみられなかった。
日本語要約
目的
たんぱく質は筋肉の材料で、筋トレと組み合わせると筋たんぱく質の合成や筋肥大を後押しすることが知られている。しかし、筋トレをしていない人でもたんぱく質を増やせば筋力が上がるのか、また1日の総たんぱく質摂取量をどこまで増やすと筋力が伸びるのか(用量反応関係)は、はっきりしていなかった。そこで、たんぱく質の補給と筋力の関係を、筋トレの有無に分けて詳しく調べた。
方法
PubMedと医中誌Webを2022年3月23日まで検索し、群の間でたんぱく質の補給量だけが異なる、2週間以上の成人(重いけがや病気のない人)のランダム化比較試験を集めた。ロイシン・HMB・クレアチン・ビタミンDなど筋肥大を促す成分を使った試験や、カロリー制限・過食を伴う試験は除いた。82件の論文(112の介入群、3940人)で、たんぱく質を上乗せした群と対照群の筋力の変化率の差(平均差)をランダム効果モデルで統合し、筋トレの有無、年齢、性別、もともとのたんぱく質摂取量、上乗せ量、期間、筋力の測り方、体の部位で分けて解析した。さらに69件の論文で、1日の総たんぱく質摂取量(食事+補給)と筋力の変化率との関係をスプライン・モデルで調べた。研究の多く(78件)は、ふだんの食事にたんぱく質の多い食品・飲料を追加する方法で、4件は食事そのものを変えていた。
結果
全体では、たんぱく質を上乗せした群の筋力の伸びは対照群より平均1.40%大きかった(95% CI 0.55〜2.24)。筋トレありの試験(59件、2440人)では2.01%(95% CI 1.09〜2.93)と有意に大きかったが、筋トレなしの試験(24件、1500人)では0.13%(95% CI −1.53〜1.79)で差がなかった。筋トレありでは、上乗せ量が0.5 g/kg体重/日未満で1.22%(95% CI 0.41〜2.03)、0.5 g/kg体重/日以上で4.29%(95% CI 1.99〜6.60)と、上乗せが多いほうが効果が大きかった。期間が3か月以上の試験では、筋トレの有無にかかわらず有意な効果はなかった。筋力の測り方では、ウエイトを挙げる等張性の筋力(筋トレありで2.30%)だけが有意に高まり、握力などの等尺性や等速性の筋力では差がなかった。用量反応の解析では、筋トレありの場合、総たんぱく質摂取量が0.1 g/kg体重/日増えるごとに筋力が0.72%(95% CI 0.40〜1.04%)増え、約1.5 g/kg体重/日で頭打ちになった。筋トレなしでは、1.3 g/kg体重/日までごくわずかに増えるだけだった。エビデンスの質(GRADE)は、全体と筋トレありで「高」、筋トレなしで「中」とされた。
限界
集めた試験は条件がさまざまで、参加者の平均年齢は55.6歳(筋トレありの試験は平均45.5歳、筋トレなしは72.1歳)と、若いトレーニーだけの結果ではない。筋力の差は平均2%前後と大きくはなく、3か月以上の長い試験では有意な差が出ていない。1.5 g/kg体重/日という頭打ちの値は、データからスプライン曲線で求めたもので、生理的な仕組みを考慮したものではないと著者自身が述べている。検索したのはPubMedと医中誌Webだけで、英語と日本語の論文に限られる。また、7人の著者のうち5人は乳業・プロテインを扱う食品会社(明治)の社員である(論文中で開示)。原文の表や本文には、いくつか食い違いがある(訳注参照)。
要約は運営者が論文を読んでまとめたものです。正確な内容は原文をご確認ください。
筋トレしている人への活かし方
「プロテインを飲めば筋肉がつく」とよく言われますが、このメタ解析では、たんぱく質を上乗せして筋力が伸びたのは筋トレをしている場合だけでした。プロテインはあくまで筋トレの効果を後押しするもので、飲むだけでは筋力は上がらない、と読めます。まずはトレーニングを続けることが土台です。
目安になるのは、プロテインの量ではなく、食事も含めた1日の総たんぱく質量です。筋トレをしている場合、体重1 kgあたり1.5 gくらいまでは多いほど筋力の伸びが大きく、それを超えると上積みは見られませんでした。体重70 kgなら1日約105 gが一つの目安で、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などの食事で足りていれば、無理にプロテインを足す必要はありません。足りない日に手軽に補う道具として使うのが合理的です。
逆に、体重1 kgあたり1.5 gを大きく超えて摂っても、筋力の面では得がなさそうです。その分の食費やカロリーを、炭水化物や野菜、睡眠など、ほかの土台に回したほうが体づくり全体ではプラスになると考えられます。なお、筋肉量を対象にした別のメタ解析では、約1.6 g/kg体重/日で頭打ちになるという似た結果も出ています。
自分の体重から1日のたんぱく質の目安を出すには、このサイトの「たんぱく質 必要量計算」が使えます。腎臓の病気がある人や妊娠中の人は、たんぱく質を大きく増やす前に医師や管理栄養士に相談してください。
これは運営者の個人的な読み方で、医療的な助言ではありません。
本文の日本語訳
以下は原論文の本文(抄録・参考文献・補足資料・宣言を除く)の日本語訳です。図は原文へのリンクにしています。[ ]内の数字は原文の参考文献番号です。表は主な項目に絞って訳し、省略した部分は表の下に記しています。
訳者注:原文の中には、いくつか食い違いがあります。(1) 表2の「もともとのたんぱく質摂取量」の行は0.39・0.37・0.38 g/kg体重/日となっていて、すぐ下の「追加したたんぱく質の量」の行と同じ値です。介入群の総摂取量が平均1.49 g/kg体重/日、対照群の総摂取量が平均1.09 g/kg体重/日とされていることから、この行は誤記の可能性があります。(2) 方法の統計解析では「1.5 g/kg体重/日を超えて0.1 g増えるごとの」筋力の増加を推定したと書かれていますが、結果・考察・抄録では「1.5 g/kg体重/日まで」0.1 gごとに0.72%増え、それ以上では増えなかったとされています。要約と3行まとめは結果の記述に従っています。(3) はじめにの「私たちの以前のメタ解析」には参考文献[43]が付いていますが、原文の文献リストでは[43]は別の縦断研究で、著者らの以前のメタ解析は[38]です。本訳では原文の記述をそのまま訳しています。
利益相反:原文によると、著者のうちTagawa、Ito、Otsuyama、Nakayama、Sanbongiの5人は株式会社明治の社員で、WatanabeとMiyachiには本論文の内容に関わる利益相反はありません。研究は日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けています。
自分の体重から1日のたんぱく質の目安を出すにはたんぱく質 必要量計算、目標カロリーとPFCバランスはPFC計算で確認できます。
要点(Key Points)
- たんぱく質の補給は、レジスタンストレーニング(筋トレ)と組み合わせたときに筋力を高める。この効果は、年齢、性別、もともとのたんぱく質摂取量、追加したたんぱく質の量、体の部位にかかわらずみられた。
- 筋トレをしている場合、総たんぱく質摂取量が1日あたり体重1 kgにつき0.1 g(0.1 g/kg体重/日)増えるごとに、筋力は0.72%(95% CI 0.40〜1.04%)ずつ増え、これは1.5 g/kg体重/日まで続く。それ以上では、さらなる上積みはみられない。
- 筋トレをせずにたんぱく質の補給だけをしても、筋力は増やせない。
はじめに
体のあらゆる動きには筋力が必要である[1]。アスリートでは、高い筋力が、スプリントの速さ[2–4]、敏捷性[3, 4]、跳躍力[3, 4]、マラソンのレースペース[5]、有酸素持久力[3]、さまざまな競技技術の向上[4]、けがのリスクの低下[4]に関係する。筋力は加齢とともに低下することが知られており[6]、筋力が低いことは、高齢者の自立と自律を制限する重要な要因である[7–13]。さらに、筋力が低いと、骨粗しょう症[14]、腰痛[15, 16]、糖尿病[17]、うつ病[18]などの病気のリスクが高まる。
身体活動と栄養は、筋力に重要な役割を果たす[19, 20]。年齢や性別の異なる集団でレジスタンストレーニングが筋力に有効であることは、いくつものメタ解析で確かめられている[21–25]。栄養、とくにたんぱく質の摂取が筋力に与える影響も、多くの研究で広く調べられてきた[26]。たんぱく質は骨格筋の主要な構成要素であり[27]、mTOR(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)のシグナル経路を介して筋たんぱく質の合成を促す重要な役割を担うため[28]、筋肉にとって栄養上の価値が高い。さらに、たんぱく質の摂取とレジスタンストレーニングは、たんぱく質の合成と筋肥大を促すうえで、相加的・相乗的な効果をもつことも報告されている[29, 30]。
いくつかのメタ解析では、レジスタンストレーニングを行っている人では、たんぱく質を追加で摂ると筋力が増えることが示された[31, 32]。しかし、レジスタンストレーニングをしていない人で、たんぱく質の追加摂取が筋力の増加につながるかどうかについては、一致した見解がない[31–37]。また、総たんぱく質摂取量と筋肉量[32, 38, 39]または筋力[39]との用量反応関係を調べた研究はいくつかあるものの、総たんぱく質摂取量と筋力の増加との詳しい用量反応関係は、とくにレジスタンストレーニングがない場合について、まだ明らかになっていない。本研究は、レジスタンストレーニングがある場合とない場合のそれぞれで、たんぱく質の補給と筋力との詳しい用量反応関係を明らかにすることを目的とした。横断研究[40, 41]や縦断研究[42, 43]では、筋力は筋肉量と密接に関係することが示されている。私たちの以前のメタ解析では、総たんぱく質摂取量と筋肉量の増加との間に用量反応関係があることを報告した[43]。以上をふまえ、私たちは、総たんぱく質摂取量が筋力に与える影響は、レジスタンストレーニングの有無にかかわらず用量反応的に現れ、その効果はレジスタンストレーニングを行うことでさらに大きくなる、という仮説を立てた。
方法
研究デザインとプロトコル
このシステマティックレビューとメタ解析の研究計画は、UMIN臨床試験登録システム(研究ID:UMIN000039285)に登録した。本研究はPRISMA(システマティックレビューとメタ解析の報告に関する推奨項目)に準拠した(補足資料1:PRISMA)[44]。PubMedと医中誌Web(日本の学術論文データベース)を2022年3月23日まで検索し、たんぱく質の摂取が筋力に与える影響を調べた、英語または日本語で発表されたランダム化比較試験(RCT)を集めた。検索語と条件は補足資料2:表S1に示す。ほかのメタ解析に含まれていた研究についても手作業で検索した。
研究の特定とデータの抽出
検索で得たすべての論文のタイトルと抄録を、2人の著者(R.T.とK.I.)がそれぞれ独立にふるい分けた。次の項に示す基準で適格性を判断し、2人の意見が分かれた場合は話し合いで解決した。適格と判断された論文と、一次スクリーニングで判断がつかなかった論文は、全文にもとづく二次スクリーニングで最終的に適格性を決めた。二次スクリーニングでは、適格な論文から、参加者の特性、介入の条件、目的とする結果の情報を取り出した。
介入群が2つ以上ある試験では、それぞれの群を別々の試験として扱った。同じ参加者の複数の部位や複数の収縮様式で筋力を測っている試験では、それらのデータを加重平均で1つの結果にまとめた。介入期間の途中の測定は除き、介入前と介入後の結果を1つずつだけ解析した。フォレストプロットを作るのに必要な情報が論文になかった場合は、適格な論文の責任著者に問い合わせた。責任著者から数値データが得られなかったがグラフとしてはデータがある場合は、Webツール WebPlotDigitizer(バージョン4.1)を使って数値を読み取った[45]。二次スクリーニングと情報の抽出は5人の著者(K.I.、T.O.、R.T.、C.S.、K.N.)が行い、2人の著者(K.I.とT.O.)が確認した。スクリーニングとデータ抽出にはMicrosoft Excel 2016とEndNote 9を使った。
適格基準
たんぱく質の摂取が筋力に与える影響を調べたRCTのうち、群の間で補給するたんぱく質の量が異なるものを解析に含めた。研究の適格性は、対象者・介入・比較・結果・研究デザイン(PICOS)の基準で判断した(表1)。対象者は、重いけがや病気(たとえばHIV感染症、がん、慢性腎不全、終末期の病気、身体活動に悪影響を与える病気)のない参加者に絞った。たんぱく質の介入期間は2週間以上とした。これは、2週間あればたんぱく質の摂取で除脂肪量が増えるのに十分だとした先行研究[46]にもとづき、また、適格になりうるRCTから重要な研究情報をもれなく集めるためである。補給したたんぱく質の量(g/日 または g/kg体重/日)は、介入前に決められていた値を用いた。先行するメタ解析を参考に[31, 32, 34, 35, 39]、筋肥大を促す成分(たとえばロイシン、HMB〔β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸〕、クレアチン、ビタミンD)を使った試験や、エネルギー制限・過食を伴う試験は除いた。対照群が2つ以上ある試験では、エネルギー摂取量が同じで、補給したたんぱく質の量の差が大きいほうの群を対照として解析に含めた。栄養以外の条件(運動など)を群間で比べている試験は除いた。
| 項目 | 含める基準 |
|---|---|
| 対象者(Population) | 成人の参加者(けがや重い病気のない人) |
| 介入(Intervention) | 2週間以上のたんぱく質の追加摂取 |
| 比較(Comparator) | プラセボまたは介入なし |
| 結果(Outcome) | 筋力 |
| 研究デザイン(Study design) | ランダム化比較試験 |
評価項目
本メタ解析では筋力を評価した。筋力については2つの値を記録した。1つは群内での筋力の変化率、もう1つは介入群と対照群の筋力の変化率の差(群間差)である。前者は総たんぱく質摂取量(補給したたんぱく質と食事からのたんぱく質の合計)の群内での効果を評価するのに使い、後者は栄養以外の条件の影響を除いた、補給したたんぱく質の群間での効果を評価するのに使った。
質の評価
2人の著者(K.I.とT.O.)が、コクランのバイアスのリスク評価ツール[47]を使って、適格な論文の質をそれぞれ独立に評価した。意見の食い違いは3人目の著者(R.T.)を交えた話し合いで解決した。7つの領域のうち2つ以上でバイアスのリスクが高い論文は除外した。出版バイアスはファンネルプロットを目で見て評価した。すべての研究、レジスタンストレーニングのない研究、レジスタンストレーニングのある研究の各解析について、エビデンスの質をGRADEシステム[48]で「高」「中」「低」「非常に低」に分類した。
統計解析
本メタ解析では、筋力の平均変化量と変化量の標準偏差(SDchange)を評価した。SDchangeが書かれていないが、介入前のSD(SDbaseline)と介入後のSD(SDfinal)がわかる研究では、次の式でSDchangeを計算した[49]。
SDchange = √(SDbaseline² + SDfinal² − 2 × Corr × SDbaseline × SDfinal)
SDbaseline、SDfinal、SDchangeのすべてがわかる研究では、相関係数(Corr)を次の式で計算した。
Corr = (SDbaseline² + SDfinal² − SDchange²)/(2 × SDbaseline × SDfinal)
解析に必要な情報が得られない場合は、論文の責任著者に問い合わせた(22件の問い合わせに対し11件の回答を得た)。相関係数は、握力ではCorr = 0.96、腕の筋力では0.89、脚の筋力では0.85、胸の筋力では0.97、背中の筋力では0.89、総合的な筋力(複数の筋力の合計しかない場合に使用)では0.96を用いた。計算に使った研究は補足資料2:表S2に示す。
対照群を基準とした、たんぱく質の追加摂取が筋力の変化率に与える効果は点推定で解析し、平均差(MD)とその95%信頼区間(CI)の点推定値をフォレストプロットで示した。すべての解析は、レジスタンストレーニングの有無で層別した。年齢(60歳未満/60歳以上)、性別(男性/女性)、もともとのたんぱく質摂取量(1.0 g/kg体重/日未満/以上)、追加したたんぱく質の量(0.5 g/kg体重/日未満/以上)、介入期間(3か月未満/以上)、収縮の種類(等速性・等尺性・等張性)、体の部位(上半身/下半身)の影響を評価するため、サブグループ解析も行った。選ばれた試験は条件がさまざまで、特定の性別・年齢・運動条件に限られていないため、試験ごとの誤差が含まれると仮定し、上記の解析はすべてランダム効果モデルで行った。統計的な異質性は、すべての解析で、ばらつきを見積もる目安として非一貫性指標(I²)[50]とχ²検定で評価した。
さらに、総たんぱく質摂取量と筋力のベースラインからの変化率との用量反応関係の解析には、スプライン・モデルを用いた。ここでもレジスタンストレーニングの有無で層別し、結果は効果量と95% CIで示した。スプライン・モデルを用いて、総たんぱく質摂取量が1.5 g/kg体重/日を超えて0.1 g/kg体重/日増えるごとの、筋力の増加率の平均効果量とその95% CIを推定した。総たんぱく質摂取量が筋力と相関する変曲点にもとづき、この値はレジスタンストレーニングありの解析で1.5 g/kg体重/日、なしの解析で1.3 g/kg体重/日とした(訳注:この段落の「1.5 g/kg体重/日を超えて」は原文どおり。結果と抄録では「1.5 g/kg体重/日まで」0.1 gごとに0.72%増えたと書かれている。訳者注参照)。これらの評価では、効果の大きさの95% CIが0をまたがない場合はP値を0.05未満、0をまたぐ場合はP値を0.05以上とみなした。
すべての統計解析は、Review Manager(RevMan)5.4とStata/MP 15.0で行った。両側P値が0.05未満を統計的に有意とした。
結果
研究の選択
文献検索の結果を図1に示す。最初にふるい分けた2044件の論文のうち、タイトルと抄録による一次スクリーニングを経て386件を検討した。そのうち、全文による二次スクリーニングの結果、112の介入群・3940人を含む82件の論文を採用した。合計で、59件の研究(82の介入群、2440人)がレジスタンストレーニングを含み、24件の研究(30の介入群、1500人)はレジスタンストレーニングを含まなかった。1件の研究には、レジスタンストレーニングありとなしの両方の試験が含まれていた。82件の論文は、対照群を基準として、たんぱく質の追加摂取が筋力の変化率に与える効果を評価するフォレストプロットの作成に使った。総たんぱく質摂取量と筋力のベースラインからの変化率との相関を調べるスプライン・モデルの作成には、69件の論文を使った。
図1:文献検索の流れ図。(図は原論文で見られます:原文の図1)
研究の特徴
採用した研究の特徴のまとめを表2に示す。総たんぱく質摂取量は、介入群で0.79〜3.80 g/kg体重/日(平均1.49 g/kg体重/日)、対照群で0.69〜2.00 g/kg体重/日(平均1.09 g/kg体重/日)だった。介入群と対照群の補給たんぱく質の量の差は0.04〜2.06 g/kg体重/日(平均0.38 g/kg体重/日)だった。78件のRCTでは、ふだんの食事に加えて、たんぱく質の多い試験食品・飲料を補給しており、4件のRCTでは食事そのものの内容を変えていた。介入期間は3週間〜2年で、平均は22.0週間だった。参加者のうち1859人が女性、2073人が男性で、残る8人は性別が不明だった(データなし)。参加者の年齢は19〜87歳で、平均は55.6歳だった。参加者と介入の特徴は補足資料3:表S3〜S6に示す。
| 項目 | 筋トレあり | 筋トレなし | 全体 |
|---|---|---|---|
| 研究数 | 59 | 24 | 82 |
| 参加者数 | 2440 | 1500 | 3940 |
| 年齢(歳) | 45.5 | 72.1 | 55.6 |
| 男性の割合(%) | 62 | 38 | 53 |
| 白人の割合(%) | 88 | 63 | 78 |
| 身長(cm) | 171 | 164 | 168 |
| 体重(kg) | 78.8 | 68.1 | 74.8 |
| BMI(kg/m²) | 26.6 | 25.4 | 26.1 |
| エネルギー摂取量(kcal/日) | 2141 | 1752 | 2035 |
| もともとのたんぱく質摂取量(g/kg体重/日)※ | 0.39 | 0.37 | 0.38 |
| 追加したたんぱく質の量(g/kg体重/日、介入群) | 0.39 | 0.37 | 0.38 |
| 総たんぱく質摂取量(g/kg体重/日、介入群) | 1.50 | 1.46 | 1.49 |
| 試験期間(週) | 15.1 | 33.3 | 22.0 |
| ふだんからトレーニングしていた人(%) | 13 | 0 | 8 |
| 測定部位:上半身(%) | 64 | 83 | 72 |
| 測定部位:下半身(%) | 78 | 57 | 70 |
| 収縮の種類:等速性(%) | 15 | 14 | 15 |
| 収縮の種類:等尺性(%) | 37 | 96 | 59 |
| 収縮の種類:等張性(%) | 82 | 13 | 55 |
データは参加者数で重み付けした平均値。原文の表では各項目の人数の内訳(範囲ごとの参加者数)も示されているが、ここでは省略した。※この行の数値は原文の表のまま(すぐ下の「追加したたんぱく質の量」と同じ値になっている。訳者注参照)。
バイアスのリスク
2つ以上の領域でバイアスのリスクが高い論文が4件(4.7%)あり、解析から除いた。詳しいデータは補足資料4:図S1に示す。ファンネルプロットを目で見た評価では、すべての研究の解析では出版バイアスは検出されなかったが、レジスタンストレーニングなしの研究、60歳以上、もともとのたんぱく質摂取量が1.0 g/kg体重/日未満の各解析では検出された。各サブ解析のファンネルプロットは補足資料4:図S2に示す。
メタ解析
112の介入条件の試験のメタ解析では、たんぱく質の摂取が筋力の増加率に有意な効果をもち、介入群と対照群の筋力の増加の平均差(MD)は1.40%(95% CI 0.55〜2.24)だった(表3、補足資料4:図S3)。レジスタンストレーニングの有無で層別すると、筋力の増加率が有意に大きくなったのはレジスタンストレーニングありの場合だけで(MD 2.01%、95% CI 1.09〜2.93)、なしの場合は有意ではなかった(MD 0.13%、95% CI −1.53〜1.79)。これは年齢、性別、もともとのたんぱく質摂取量、追加したたんぱく質の量、体の部位にかかわらなかった。一方、介入期間によるサブグループ解析では、長い試験(3か月以上)では、レジスタンストレーニングの有無にかかわらず、たんぱく質の摂取で筋力は有意に増えなかった。収縮の種類については、全試験とレジスタンストレーニングありの試験で、たんぱく質の摂取によって有意に高まったのは等張性の筋力だけだった。レジスタンストレーニングありの場合、追加したたんぱく質の量と筋力との間に用量反応的な効果がみられた。追加のたんぱく質が0.5 g/kg体重/日未満でも筋力は有意に高まったが(MD 1.22%、95% CI 0.41〜2.03)、0.5 g/kg体重/日以上では、それより少ない場合の3.5倍にあたる、有意に大きな筋力の増加が得られた(MD 4.29%、95% CI 1.99〜6.60)。統計的な異質性について、I²統計量は全試験で32%、レジスタンストレーニングありの試験で16%、なしの試験で49%で、χ²検定では全試験とレジスタンストレーニングなしの試験で有意な異質性がみられた(P < 0.01)。
| 区分 | 筋トレあり | 筋トレなし | 全体 |
|---|---|---|---|
| 全体 | 2.01(1.09, 2.93) | 0.13(−1.53, 1.79) | 1.40(0.55, 2.24) |
| 年齢 60歳未満 | 2.35(1.00, 3.69) | 0.95(−4.97, 6.86) | 2.25(0.95, 3.54) |
| 年齢 60歳以上 | 1.38(0.39, 2.36) | 0.20(−1.65, 2.04) | 0.64(−0.47, 1.75) |
| 女性 | 1.54(0.46, 2.62) | 2.48(−5.43, 10.39) | 1.38(−0.28, 3.04) |
| 男性 | 2.07(0.71, 3.43) | −0.95(−3.51, 1.60) | 1.64(0.37, 2.91) |
| もともとのたんぱく質 1.0 g/kg未満 | 1.46(0.45, 2.48) | −0.26(−2.56, 2.03) | 1.06(−0.01, 2.13) |
| もともとのたんぱく質 1.0 g/kg以上 | 2.11(0.76, 3.46) | −0.81(−3.00, 1.38) | 0.93(−0.35, 2.21) |
| 追加したたんぱく質 0.5 g/kg未満 b | 1.22(0.41, 2.03) | 1.38(−0.95, 3.71) | 1.10(0.17, 2.03) |
| 追加したたんぱく質 0.5 g/kg以上 b | 4.29(1.99, 6.60) | −1.64(−3.52, 0.25) | 2.36(0.35, 4.37) |
| 試験期間 3か月未満 a | 2.27(1.23, 3.30) | 0.95(−1.56, 3.46) | 1.90(0.91, 2.90) |
| 試験期間 3か月以上 a | 0.66(−1.22, 2.54) | −0.67(−2.84, 1.50) | −0.05(−1.52, 1.43) |
| 等速性の筋力 | 0.71(−4.69, 6.11) | −1.11(−5.25, 3.03) | −0.03(−3.53, 3.47) |
| 等尺性の筋力 | 0.92(−0.33, 2.17) | 0.26(−1.70, 2.23) | 0.33(−0.91, 1.56) |
| 等張性の筋力 | 2.30(1.25, 3.36) | 0.57(−1.99, 3.13) | 2.13(1.16, 3.11) |
| 上半身 | 1.39(0.25, 2.54) | 0.15(−1.65, 1.95) | 0.99(0.01, 1.98) |
| 下半身 | 2.77(1.46, 4.07) | 0.40(−1.82, 2.62) | 2.21(1.07, 3.34) |
MD:平均差(介入群と対照群の筋力の変化率の差)。a:全試験の解析でサブグループ間に統計的に有意な差あり(P < 0.05)。b:筋トレありの試験の解析でサブグループ間に統計的に有意な差あり(P < 0.05)。原文の表では各区分の人数・研究数とI²も示されているが、ここでは省略した。
スプライン・モデルによる用量反応解析
スプライン曲線を用いた用量反応解析の結果を図2に示す。筋力の変化率は総たんぱく質摂取量とともに徐々に大きくなり、レジスタンストレーニングありでは約1.5 g/kg体重/日で頭打ちになった(図2a)。レジスタンストレーニングありの筋力は、たんぱく質摂取量が0.1 g/kg体重/日増えるごとに0.72%(95% CI 0.40〜1.04%)増え、これは1.5 g/kg体重/日まで続いたが、それ以上ではさらなる増加はみられなかった。レジスタンストレーニングなしでは、筋力はごくわずかに増えただけで、総たんぱく質摂取量が1.3 g/kg体重/日までは少し増え、それ以降は徐々に消えていった(図2b)。
図2:総たんぱく質摂取量と筋力の変化との用量反応関係。(a)筋トレありの試験、(b)筋トレなしの試験について、総たんぱく質摂取量と筋力の変化率の関係をスプライン曲線で示したもの。実線は筋力の平均変化率、破線は95% CI。(図は原論文で見られます:原文の図2)
GRADE
本解析のGRADE評価を表4に示す。エビデンスの全体的な質は、すべての研究の解析とレジスタンストレーニングありの研究の解析で「高」、レジスタンストレーニングなしの研究の解析では、出版バイアスの可能性があるため「中」と評価した。
| 解析 | 研究デザイン | 出版バイアス | 絶対効果(95% CI、%) | 質 |
|---|---|---|---|---|
| 筋トレあり | RCT | 深刻でない | 2.01(1.09, 2.93) | 高 |
| 筋トレなし | RCT | 深刻 | 0.13(−1.53, 1.79) | 中 |
| 全体 | RCT | 深刻でない | 1.40(0.55, 2.24) | 高 |
バイアスのリスク、非一貫性、非直接性、不精確さは、3つの解析すべてで「深刻でない」と評価されている(表では省略)。
考察
主な知見
本研究には、次の主な知見がある。第一に、たんぱく質の摂取が筋力を有意に高めるのは、レジスタンストレーニングと組み合わせた場合だけである。第二に、スプライン・モデルの結果から、筋力への効果を最大にするには、レジスタンストレーニングとあわせて1.5 g/kg体重/日の総たんぱく質摂取量が必要であることが示された。私たちの知る限り、総たんぱく質摂取量と筋肉量[32, 38, 39]または筋力[39]との用量反応関係を調べた研究はいくつかあるが、トレーニングをしている人としていない人の両方で、総たんぱく質摂取量と筋力との詳しい用量反応関係を定量的に評価したメタ解析は本研究が初めてである。
本研究の臨床的な意義
高い筋力は、高いバランス能力、転倒リスクの低さ[51, 52]、優れた競技パフォーマンス[2, 53]といった良好な身体能力と関係するだけでなく、高い骨密度[54]、肺機能[55]、うつ病[56]・糖尿病[17]・死亡[57]のリスクの低さとも関係する、体力の重要な指標として知られている。実際、身体活動のガイドラインは、健康増進のために筋力を高める活動を積極的にすすめている[58–63]。したがって、筋力を長期にわたって維持・向上することは、アスリートのような活動的な人だけでなく、ふつうの身体活動の人にもすすめられる。
レジスタンストレーニングが年齢や性別を問わず筋力の増加に有効であることは、いくつものメタ解析で確かめられている[21–25]。たんぱく質の摂取が筋力に与える効果についてのメタ解析もいくつかある[31–37]。しかし、たんぱく質の摂取と筋力の関係については、年齢[31, 33–36]やレジスタンストレーニングの有無[31–33]などの要因によって、結果が食い違っていた。
本研究では、層別モデルを用いて、たんぱく質の補給が筋力に与える効果を調べた。数か月間レジスタンストレーニングを行う人にとって、本解析で示された、たんぱく質の補給による平均2%の筋力の上積みは、臨床的に重要である。加齢による筋力の低下は、若い成人で年1%未満、高齢者で年3%未満であるためである[64, 65]。スプライン・モデルで用量反応関係も評価した結果、たんぱく質の補給の効果は、レジスタンストレーニングの有無によって大きく異なることが示された。これらの知見は、たんぱく質の摂取が筋力に与える効果とその限界について、新しい理解をもたらす。
筋力にとってのレジスタンストレーニングの重要性
今回の知見は、たんぱく質の補給が筋力を有意に高めるのは、レジスタンストレーニングと組み合わせた場合だけであることを裏づけている。この結果は私たちの当初の仮説とは異なり、たんぱく質の追加摂取だけでは筋力に効果がなく、レジスタンストレーニングと組み合わせる必要があることを示している。この結果は、レジスタンストレーニングとたんぱく質の摂取が筋力に与えるそれぞれの影響を調べた大規模なRCTの結果と一致する[66]。
筋力の増加は、筋肥大などの筋肉の構造の変化[67, 68]、運動単位の動員の増加などの神経の適応[67, 69, 70]、無酸素性エネルギー代謝の適応[71–73]の結果として起こる。レジスタンストレーニングは、この3つの仕組みすべてを引き起こすことがわかっている[67–73]。一方、たんぱく質の追加摂取は、筋肥大にだけ影響する[29, 30, 74, 75]か、神経と代謝の適応にはわずかな役割しか果たさない[76, 77]ことがわかっている。詳しい仕組みはまだ解明されていないが、たんぱく質の摂取だけでは神経と代謝の適応を引き起こすのに十分でないと考えられる。これが、たんぱく質の摂取だけでは筋力を効果的に高められなかった理由の一つかもしれない。筋肉量だけでは筋力の変化をすべて説明できないという考えは、レジスタンストレーニングは筋肉量よりも筋力に大きな効果をもつと報告した過去の総説やメタ解析[24, 25, 78]によって支持されている。さらに、ある横断研究では、高齢者の筋力のうち筋肉量で説明できるのは11〜40%にすぎないことが示され[79]、縦断研究では、高齢者では筋力が筋肉量より速く低下することが示されている[40, 80]。
筋力の測定・評価の種類とたんぱく質の摂取の効果
筋力の測定方法で層別した解析の結果、等張性の筋力について、レジスタンストレーニングとたんぱく質の摂取の相乗効果が確かめられた。しかし、たんぱく質の介入は、等尺性と等速性の筋力には効果がなかった。これには次の2つの理由が考えられる。第一に、補給したたんぱく質は全身の筋肉量に影響することが知られているが、等尺性・等速性の筋力にたんぱく質の介入の効果がなかったのは、多関節の動作(たとえばスクワット、デッドリフト、ベンチプレス)での等張性の動きでは、より多くの筋肉を動員する必要があるためかもしれない。一方、等尺性の筋力(たとえば握力)や、単関節の動作での等尺性の動きでは、動員される筋肉の量は少ない。第二に、レジスタンストレーニングは、フリーウエイトやウエイトマシンなどの器具を使う等張性の運動がほとんどを占めるため、筋力への効果は等張性の筋力の測定でしか見えにくいと考えられる。
総たんぱく質摂取量と筋力の用量反応関係
スプライン・モデルの結果、レジスタンストレーニングありの筋力は、総たんぱく質摂取量が0.1 g/kg体重/日増えるごとに0.72%(95% CI 0.40〜1.04%)の割合で比例して増え、これは1.5 g/kg体重/日まで続いたが、それ以上ではさらなる上積みは得られなかった。この結果は、ベンチプレスの筋力への総たんぱく質摂取量の効果が1.6 g/kg体重/日の上下で変わらなかったとする過去のメタ解析[39]の結果とある程度似ている。ただし、筋力に対する1.5 g/kg体重/日という総たんぱく質摂取量の効果を調整している仕組みをよりよく理解するには、さらなる研究が必要である。
結果の一般化可能性
文献レビューで、たんぱく質の摂取と筋力との関係を調べ、効果量をMDで計算した2つのメタ解析[31, 32]が見つかった。本研究での、レジスタンストレーニングと組み合わせたたんぱく質の摂取が筋力に与える効果量は、全測定で2.01%(95% CI 1.09〜2.93)、レッグプレスで4.43%(95% CI 2.27〜6.58)だった。これらは、過去のメタ解析の、全測定で4.12%(95% CI 1.06〜7.16)[32]、レッグプレスで7.74%(95% CI 3.67〜11.87)[31]より小さい。本メタ解析は多数の論文を含むため、過去のメタ解析とは研究の特徴が異なる。効果量のこの違いは、本研究の追加たんぱく質の量が過去の研究のおよそ70〜85%だったこと、また本研究の参加者の年齢が過去の研究より平均で10歳以上高かったことが一因かもしれない。本解析では、レジスタンストレーニングと組み合わせたたんぱく質の摂取が筋力に与える効果は、追加したたんぱく質が多いほうが少ないほうより有意に大きく、平均値は若い成人で高齢者の1.7倍だったからである。さらに、本研究の総たんぱく質摂取量と筋力の増加との用量反応関係は、総たんぱく質摂取量を増やしたときの筋肉量の増加が同程度の総たんぱく質摂取量(1.5または1.6 g/kg体重/日)で頭打ちになり始めるという点で、過去のメタ解析の結果[32]と似ている。本研究の知見と過去のメタ解析の結果に大きな違いはなかった。
たんぱく質のとりすぎによる有害な影響
筋力の維持・向上にたんぱく質の摂取が役立つことはよく知られているが、たんぱく質のとりすぎによる有害な影響の可能性も考慮する必要がある。妊娠中のたんぱく質の多量摂取は、在胎週数に比べて小さく生まれる赤ちゃん(SGA)[81]や新生児の死亡[82]のリスクを高めると報告されている。たんぱく質の摂取が腎機能に与える悪影響については、相反する結果が報告されている[83, 84]。とくに、軽い腎機能障害のある人では、牛乳以外の動物性食品からのたんぱく質の多量摂取が腎機能の低下と関連している[85]。したがって、とくに上記のようなリスクのある人では、窒素バランスを保ち、とりすぎのリスクを避けるため、適量のたんぱく質を摂ることが重要である。
本研究の強みと限界
本研究にはいくつかの強みがある。第一に、たんぱく質の摂取が筋力の増加に与える効果を、レジスタンストレーニングと組み合わせた場合だけで評価した多くのメタ解析と違い、本研究は、レジスタンストレーニングの有無によるたんぱく質の摂取の効果の違いを浮き彫りにしている。第二に、本研究はスプライン・モデルを使って、総たんぱく質摂取量と筋力の増加との詳しい定量的な関係を理解し決めるための根拠を示しており、これはこれまで十分に調べられていなかったテーマである。しかし、本研究にはいくつかの限界もある。第一に、本研究に含めた研究は英語と日本語で発表されたものに限られる。第二に、研究はPubMedと医中誌Webのデータベースからしか集めていない。そのため、ほかの関連する研究を見落としている可能性がある。ただし、本研究は過去の研究より多くの論文を含んでいるため、この影響は限られていると考える。第三に、研究が多様だったため、データの異質性が高かった。そのため、本研究の結果を解釈する際は、具体的な条件の違いを考慮すべきである。最後に、スプライン・モデルは総たんぱく質摂取量と筋力の増加との詳しい定量的な関係を理解するための根拠を与えるが、これはデータにもとづく手法であり、たんぱく質の生理とその利用を考慮していない。したがって、この定量的な関係の背後にある生理学的な仕組みを完全に理解するには、さらなる研究が必要である。
結論
たんぱく質の補給で筋力を高めるには、レジスタンストレーニングを並行して行うことが欠かせない。その効果は、総たんぱく質摂取量が1.5 g/kg体重/日までは多いほど大きくなるが、それ以上ではさらなる上積みは得られない。
出典・ライセンス
Ryoichi Tagawa, Daiki Watanabe, Kyoko Ito, Takeru Otsuyama, Kyosuke Nakayama, Chiaki Sanbongi, Motohiko Miyachi. Synergistic Effect of Increased Total Protein Intake and Strength Training on Muscle Strength: A Dose-Response Meta-analysis of Randomized Controlled Trials. Sports Med Open 2022;8(1):110. 公開日:2022年9月4日. DOI: 10.1186/s40798-022-00508-w
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