3行まとめ
- 前糖尿病(糖尿病予備群)の中高年105人(平均62歳、女性65人・男性40人)を、ゴムバンドを使った筋トレ(週3回・約50分)、エアロビックダンスの有酸素運動(週3回・60分)、運動なしの3群にランダムに分け、12か月間くらべた。
- CTで測った内臓脂肪は、運動なしの群が+5.4 cm²だったのに対し、有酸素群で−19.9 cm²、筋トレ群で−12.8 cm²減り、どちらの運動も運動なしより有意に減った(筋トレと有酸素の間に有意差はなし)。空腹時血糖もどちらの運動でも下がり、1年で糖尿病になった人は運動なし28.6%に対し、有酸素8.6%・筋トレ5.7%だった。
- 筋肉量は、有酸素群(−0.28 kg)と運動なしの群(−0.35 kg)が減ったのに対し、筋トレ群だけ+0.17 kgとわずかに増えた。ただし増え方は小さく、ウエスト・ヒップ比や皮下脂肪には群間の差がなかった。
日本語要約
目的
お腹まわりの脂肪、とくに内臓脂肪は、インスリン抵抗性や2型糖尿病、心血管疾患と強く結びついている。有酸素運動が内臓脂肪を減らすことは知られているが、前糖尿病の人で、筋トレ(レジスタンストレーニング)と有酸素運動を直接くらべて腹部の脂肪と血糖などへの効果を調べた研究は少ない。そこで、12か月の筋トレが、有酸素運動や運動なしとくらべて内臓脂肪・皮下脂肪と代謝の指標をどう変えるかを調べた。
方法
中国・南京市の地域と丹陽市の病院で募集した前糖尿病(空腹時血糖異常・耐糖能異常、またはその両方)の105人(女性65人は全員閉経後)を、筋トレ群・有酸素群・対照群(運動なし)に35人ずつランダムに割り付けた2施設のランダム化比較試験。筋トレ群は、ゴムバンドでレッグプレス、チェストプレス、プルダウン、ローイング、ショルダープレス、クランチなど13種目を週3回・約50分、最初の1〜2週間は1RMの50%・6〜8回から始め、週3回・1RMの60%・10〜15回まで段階的に上げた。有酸素群は、音楽に合わせたエアロビックダンスを週3回・60分、最大心拍数の60〜70%で行った。運動はトレーナーが監督した。全員に管理栄養士が献立を作り、健康的な食事(炭水化物55〜60%・タンパク質15〜20%・脂質25〜30%)を指示した。主な評価項目は、CTで測った内臓脂肪(VAT)と皮下脂肪(SAT)の断面積。体組成計による筋肉量、血糖、HbA1c、血中脂質なども測り、12か月後に再び糖負荷試験を行った。
結果
93人(89%)が12か月を完了し、解析は全員を含めて行った(ITT)。運動による有害事象はなかった。内臓脂肪の変化は、有酸素群 −19.87 ± 26.14 cm²(150.24 → 130.38)、筋トレ群 −12.75 ± 36.88 cm²(148.01 → 135.27)、対照群 +5.40 ± 36.24 cm²で、群×時間の交互作用は有意(P = 0.006)。対照群とくらべて有酸素群(P = 0.001)、筋トレ群(P = 0.014)とも有意に減り、筋トレ群と有酸素群の差は有意ではなかった(P = 0.469)。皮下脂肪は運動群の中では有意に減ったが、群間の差はなかった。筋肉量の変化は、筋トレ群 +0.17 ± 0.93 kg、有酸素群 −0.28 ± 0.70 kg、対照群 −0.35 ± 1.56 kgで、筋トレ群は有酸素群(P = 0.031)・対照群(P = 0.045)より有意に大きかった(群×時間の交互作用はP = 0.112)。空腹時血糖は、有酸素群 −0.19、筋トレ群 −0.17、対照群 +0.28 mmol/Lで、運動群が有意に下がった(交互作用 P = 0.004)。12か月後に糖尿病と判定されたのは、対照群10人(28.6%)に対し、有酸素群3人(8.6%、P = 0.031)、筋トレ群2人(5.7%、P = 0.011)だった。BMI、ウエスト・ヒップ比、血中脂質、インスリン抵抗性の指標などには群間の差がなかった。
限界
参加者は平均62歳の前糖尿病の中国人で、女性の多くが閉経後だった。若い人や、血糖に問題のない人、ふだんからジムで鍛えている人にそのまま当てはまるとは限らない。筋トレはゴムバンドを使った1RMの50〜60%の比較的軽い負荷で、著者らも筋肉量の増加は小さかったと述べている。参加者とトレーナーは割り付けを知っていた(評価者は知らなかった)。人数が十分でなく一部の結論の検出力が足りない可能性を著者自身が挙げている。また、選択基準の書き方や平均年齢の記載など、原文の中にいくつか食い違いがある(訳注参照)。
要約は運営者が論文を読んでまとめたものです。正確な内容は原文をご確認ください。
筋トレしている人への活かし方
「腕は細いのにお腹だけ出ている」体型を変えたいとき、筋トレか有酸素かで迷う人は多いと思います。この研究では、12か月続けると、筋トレでも有酸素運動でも内臓脂肪が減り、両者の差ははっきりしませんでした。お腹の脂肪を落とす目的なら、どちらか続けやすいほうを選んでよい、と読めます。
そのうえで、筋肉量を保てた(わずかに増えた)のは筋トレ群だけで、有酸素運動だけの群と運動なしの群では筋肉量が少し減っていました。細い腕や薄い体を何とかしたいなら、筋トレを軸にして、余裕があれば有酸素運動を足すのが合理的です。
使ったのはジムのマシンではなくゴムバンド(トレーニングチューブ)で、負荷も1RMの50〜60%と軽めでした。それでも週3回を1年続けると内臓脂肪が減っています。ジムに通えない人でも、自宅でチューブを使ったチェストプレス、ローイング、プルダウン、脚の種目から始める価値はあります。筋肉を大きく増やしたい場合は、もっと重い負荷が必要になると考えられます。
お腹まわりの変化は体重だけでは見えにくいので、体組成計の数値やウエストを定期的に記録すると続けやすくなります。対象は前糖尿病の中高年なので、血糖値が高めと言われている人や持病のある人は、運動を始める前に医師に相談してください。
これは運営者の個人的な読み方で、医療的な助言ではありません。
本文の日本語訳
以下は原論文の本文(抄録・参考文献を除く)の日本語訳です。図は原文へのリンクにしています。[ ]内の数字は原文の参考文献番号です。表は主な項目に絞って訳し、省略した部分は表の下に記しています。
訳者注:原文の中には、いくつか食い違いがあります。(1) 選択基準の(2)は原文で「male and no pregnant and lactating women」と書かれていますが、参加者には女性65人が含まれます。(2) 参加者の平均年齢は、結果では62.20 ± 7.32歳、考察の後半では60.31 ± 7.56歳と書かれています(60.31 ± 7.56歳は表1の対照群の値と同じです)。(3) 抄録と結果では「筋トレ群の筋肉量の増加が有酸素群・対照群より大きかった」とされていますが、表2の群×時間の交互作用はP = 0.112で、増加量も0.17 kgと小さいものでした。(4) 考察にある平均BMI 24.35 ± 3.43は、表1には載っていません。本訳では原文の記述をそのまま訳しています。
自分の体脂肪率から目標体重を出すには体脂肪率 目標体重計算、減量中の筋トレの組み方は減量中の筋トレ、1日の消費カロリーは消費カロリー(TDEE)計算で確認できます。
1. はじめに
前糖尿病(糖尿病予備群)の人は、10年間でおよそ30%の確率で2型糖尿病(T2DM)を発症する[1–3]。空腹時血糖異常(IFG)、耐糖能異常(IGT)、およびIFGとIGTの合併は、インスリン抵抗性の程度がそれぞれ異なる前糖尿病の状態である[4]。これらは、正常な血糖の恒常性と糖尿病との中間にあたる、血糖調節の異常な状態である。IFGやIGTがあると、2型糖尿病へ進むリスクが高まる。しかし、それは避けられないものではなく、元に戻りうる過程である。肥満の増加、身体活動の不足、座りがちな行動は、インスリン抵抗性・糖尿病の独立した危険因子である[5]。運動は、2型糖尿病と前糖尿病の予防・ケア・管理に欠かせない方法として認められている[6, 7]。
腹部肥満は、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、心血管疾患と関連している[8]。とりわけ、内臓脂肪(VAT)の増加がインスリン抵抗性、動脈硬化を起こしやすい脂質異常、心血管疾患と強く関連することを示す証拠が増えている[8–10]。定期的な運動は腹部の脂肪を減らし、2型糖尿病のリスクを下げることが知られている。ある研究では、レジスタンストレーニング(RT、筋トレ)が腹部の脂肪、特にVATを効果的に減らしたことが示されている[11]。また、ある総説では、有酸素トレーニング(AT)がVATを減らすのに有効であることが明らかにされている[12]。しかし、前糖尿病の人を対象に、RTとATを比べて腹部の脂肪組織を調べた研究は少ない。そこで本研究は、前糖尿病の人において、レジスタンストレーニングが有酸素トレーニングと比べて腹部の脂肪組織と代謝指標にどのような効果をもつかを明らかにすることを目的とした。私たちは、レジスタンストレーニングは腹部の脂肪組織を減らすのに有効な運動である、という仮説を立てた。
2. 方法
2.1. 研究デザインと参加者
参加者は、2014年5月から2015年4月にかけて、主に南京市の4つの地域(コミュニティ)と丹陽市の病院1か所で募集した。前糖尿病の既往がある168人を募集した。全員が病歴の聴取と2時間の経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を受けた。このうち124人が、米国糖尿病学会(ADA)の定義による選択基準を満たした[13]。選択基準は次のとおりである:(1) 前糖尿病であること[13]、(2) 男性、および妊娠中・授乳中でない女性、(3) 筋力がIV以上であること。糖尿病の既往、重い心肺疾患、認知機能障害のある人は除外した。さらに、トレーニングを完了する能力に影響しうるほかの病気がないことも条件とした。追跡が難しい人と参加を断った人も除外した。最終的に、プロジェクトへの参加を希望した105人を対象とした。研究終了時に、全員が2回目のOGTTを受け、病態の移行(糖尿病への進行など)を評価した。本研究は2施設のランダム化比較試験(RCT)として行った。ランダム割り付けのあと、参加者とトレーナーに割り付け群を伏せることはできなかったが、研究の結果は割り付けを知らない評価者が測定した。研究計画(NCT02561377、clinicaltrial.govに登録)は江蘇省中西医結合医院の倫理委員会の承認を受け、参加者全員に研究について口頭で説明し、全員がインフォームド・コンセントの文書に署名した。
訳注:選択基準(2)の原文は「male and no pregnant and lactating women」で、本訳では文脈から「男性、および妊娠中・授乳中でない女性」と訳しました(実際の参加者には女性65人が含まれています)。
2.2. 測定
2.2.1. 腹部の脂肪組織
腹部の脂肪組織の測定方法は、別の論文で報告している[14]。皮下脂肪(SAT)は、腹部の全脂肪組織からVATを差し引いて求めた。ベースラインと追跡時の測定は、全参加者で同じ機器を使って行った。
訳注:要約によると、VATとSATはCT(コンピューター断層撮影)で測定され、単位はcm²(断面積)です。
2.2.2. 体組成
身長、体重、筋肉量は体組成計(SK-X80、Yuwell社)で測定し、参加者は全員薄着で裸足で立った。BMIは体重と身長から計算した(kg/m²)。ウエスト周囲径は、いちばん下の肋骨と腸骨稜(骨盤の上縁)の中間点で測った。ヒップ周囲径は、参加者がまっすぐ立った状態で、恥骨結合と大殿筋の後方のいちばん出ている位置を通るように、メジャーを水平にあてて測った[14]。ウエスト・ヒップ比(WHR)も計算した。すべての指標は、訓練を受けた同じ担当者が測定した。
2.2.3. 代謝指標
生化学検査のため、10時間以上の絶食後に静脈血を採取した。空腹時インスリン(FI)、空腹時血糖(FPG)、食後2時間血糖(2hPG)、HbA1c、血中脂質は、全自動の化学発光測定装置(Cobas 6000、Roche社)で分析した。HOMA2-IRとHOMA2-βは、HOMA2計算ソフト(HOMA2 Calculator v2.2.3)で計算した。
2.2.4. 最大心拍数のスクリーニング
参加者は安全のため、運動プログラムを始める前に修正ブルース法によるトレッドミル運動負荷試験(ERS.2、Ergoline社、ドイツ)を受け、その結果から最大心拍数を決めた。標準的な手順に従って心拍数と血圧を監視し、参加者がトレッドミル試験中に自分の意思で続けられなくなる(疲労困憊)時点で試験を終了した。心拍数の監視には心拍計付きの腕時計(Polar® A370、Polar社、フィンランド)を使い、各参加者が息切れと疲労を訴えた時点の心拍数をその人の最大心拍数(HRmax)とした。この最大運動負荷試験の間は、全員の心電図を連続して監視した。典型的な狭心症、失神、収縮期血圧の10 mmHg以上の低下、持続性心室頻拍、1.0 mm以上のST上昇がみられた参加者は、運動プログラムから除外した。
2.3. 介入
この12か月の研究では、条件を満たした105人を、乱数表を使ってレジスタンストレーニング群、有酸素トレーニング群、対照群にランダムに割り付けた。対照群は12か月の研究期間中は運動を行わず、もとの生活習慣を続けた。運動群は、専門的な研修を受けたトレーナーの監督のもとで運動した。
対照群には、ふだんの習慣を続けるよう指示し、決まった運動の介入は行わなかった。
レジスタンストレーニング群の参加者には、ゴムバンド(Huoshuai社、中国)を使ったレジスタンストレーニングに週3日参加してもらった。プログラムには13種目の運動があった:レッグプレス、レッグエクステンション、チェストプレス、プルダウン、ローイング、カーフレイズ、シーテッドレッグカール、ショルダープレス、腕を伸ばしたまま前に動かす運動、腕を伸ばしたまま後ろに動かす運動、脚の左回旋、脚の右回旋、腹筋のクランチ。1回のレジスタンストレーニングは約50分で終わった。最初の1〜2週間は、各ゴムバンドの負荷をトレーナーが1RM(1回だけ挙げられる最大の重さ)の50%に設定し、頻度は週1〜2回、13種目をそれぞれ6〜8回とした。その後、介入が終わるまでに、段階的に週3回、1RMの60%で10〜15回へと増やした。
筋力は、ベースラインにレッグプレスとレッグエクステンションで1RMテスト(Nitro Plus、Nautilus社、米国ワシントン州バンクーバー)を行って評価し、RTの介入期間を通して1RMを測り直すことで負荷を正確に調整した。1RMテストは午前8時30分から10時の間に行った。マシンでレッグプレスとレッグエクステンションを5〜10回行うウォームアップのあと、体重の10〜20%の負荷からレッグプレスとレッグエクステンションを始めた。3回以内の試技で成功すれば、そのマシンで設定できる次の段階の重さへと少しずつ負荷を上げた。主観的運動強度のスケールで「非常にきつい」と判断され、その運動ができなくなった場合は、1〜2分休んでからもう一度試した。この強度に達しなかった場合は、各種目3回の試技のうち最も重い負荷を記録した。こうして最大筋力を1RMとして決めた。
有酸素トレーニングのプログラムでは、参加者は週3日、1回60分(5〜10分のウォームアップと5〜10分の柔軟運動を含む)の運動を行った。参加者は、音楽に合わせて行う有酸素運動(エアロビックダンス)の指導を受けた。運動強度は、トレッドミル試験の結果から求めた最大心拍数の60〜70%とした。トレーニング中は心拍数を監視し、前述のとおり目標心拍数の範囲を段階的に上げていった。
2.4. 食事
参加者全員に、研究期間を通して健康的な食事(炭水化物55〜60%、タンパク質15〜20%、脂質25〜30%)をとるよう求めた。参加者ごとの献立は管理栄養士が作成し、参加者には登録時、6か月時、12か月時に24時間の食事内容を記録してもらった。食事摂取量はソフトウェア(KangfuAna 4.1 plus)で計算した。総摂取カロリーと三大栄養素の割合に、群間の差はなかった。
2.5. 統計解析
必要な人数を計算した(PASS 15、NCSS統計ソフト、米国ユタ州)。RT群とAT群のVATの平均差27.9 cm²、標準偏差36.43 cm²を検出するのに必要な人数を求めた[15]。両側検定・有意水準0.05で検出力80%を得るには、1群28人が必要だった。脱落率を最大20%と見込んで、100人の募集を計画した。条件を満たした124人のうち、最終的に105人が研究に参加した。統計解析にはSPSS 22.0を使った。解析は治療意図に基づく解析(ITT)の原則で行い、ランダムに割り付けた参加者全員を含めた。データは平均 ± 標準偏差(SD)で示し、正規分布しない変数は各群の中央値で示した。3群のベースライン特性は、一元配置分散分析(ANOVA)またはノンパラメトリック検定で、カテゴリー変数はカイ二乗検定で比べた。トレーニング前後の変化は、群ごとの比較にクラスカル・ウォリス検定とウィルコクソン検定を用いて別々に解析した。介入期間中の変化の比較には反復測定ANOVAを用い、研究で評価した変数を従属変数として、時間、群、時間×群の交互作用の効果を調べた。群内の差は、対応のあるt検定または対応のあるウィルコクソン検定で評価した。すべての統計検定で、有意水準はP < 0.05とした。
3. 結果
3.1. 継続状況
条件を満たした105人(女性65人、男性40人)が研究に参加し、平均年齢は62.20 ± 7.32歳だった。募集から追跡までの参加者の流れを図1に示す。93人が12か月の介入を完了した(完了率89%)。脱落の理由は、研究の結果とは関係のない家庭の事情(3人)と病気(1人)で、2人は興味を失って介入をやめた。さらに、6人とは連絡がとれなくなった。それでも、参加者全員をITT解析に含めた。
図1:参加者の流れ図。(図は原論文で見られます:原文の図1)
3.2. ベースライン特性
3群のベースライン特性を表1に示す。ベースラインの変数に群間の差はなかった。研究期間を通して、運動に関連した有害事象はみられなかった。
| 項目 | AT(n = 35) | RT(n = 35) | 対照(n = 35) | P値 |
|---|---|---|---|---|
| 年齢(歳) | 64.23 ± 5.75 | 62.06 ± 8.11 | 60.31 ± 7.56 | 0.08 |
| 性別(女性/男性)、人 | 25/10 | 20/15 | 20/15 | 0.36 |
| BMI(kg/m²) | 22.37(21.37, 26.02) | 25.14(22.67, 26.71) | 24.63(21.65, 27.61) | 0.34 |
| WHR | 0.88(0.84, 0.92) | 0.89(0.82, 0.94) | 0.89(0.86, 0.91) | 0.70 |
| 筋肉量(kg) | 38.90(34.80, 42.40) | 41.30(37.90, 49.50) | 40.50(33.60, 49.00) | 0.28 |
| 総コレステロール(mmol/L) | 5.03 ± 0.90 | 4.87 ± 0.91 | 4.64 ± 0.97 | 0.22 |
| 中性脂肪(mmol/L) | 1.23(0.99, 2.06) | 1.37(1.00, 1.86) | 0.95(0.73, 1.57) | 0.16 |
| HDL(mmol/L) | 1.43 ± 0.46 | 1.29 ± 0.39 | 1.38 ± 0.34 | 0.37 |
| LDL(mmol/L) | 2.94(2.74, 3.42) | 2.80(2.36, 3.25) | 2.61(2.22, 3.26) | 0.16 |
| 内臓脂肪 VAT(cm²) | 150.24 ± 58.61 | 148.01 ± 62.36 | 142.18 ± 53.71 | 0.83 |
| 皮下脂肪 SAT(cm²) | 215.88(147.01, 246.20) | 180.57(147.42, 231.98) | 205.38(169.67, 230.63) | 0.70 |
| 空腹時血糖 FPG(mmol/L) | 5.83 ± 0.64 | 5.83 ± 0.57 | 5.71 ± 0.60 | 0.64 |
| 食後2時間血糖 2hPG(mmol/L) | 7.79(6.82, 9.26) | 7.87(6.50, 9.86) | 8.45(7.03, 10.38) | 0.56 |
| HbA1c(%) | 6.02 ± 0.34 | 5.91 ± 0.34 | 5.91 ± 0.38 | 0.48 |
| 空腹時インスリン FI(μU/mL) | 7.89(5.73, 11.08) | 7.31(6.30, 14.38) | 8.34(5.75, 11.33) | 0.86 |
| HOMA2-IR | 1.02(0.79, 1.54) | 0.98(0.87, 1.93) | 1.09(0.77, 1.46) | 0.87 |
| HOMA2-β | 70.10(53.00, 97.00) | 73.70(57.50, 106.30) | 81.40(58.30, 100.20) | 0.66 |
| 総摂取カロリー(kcal) | 1809.61 ± 328.47 | 1789.34 ± 330.49 | 1906.04 ± 385.40 | 0.475 |
| 閉経、人 | 25 | 20 | 20 | 0.36 |
| 診断区分:IFG、人(%) | 17(48.6) | 10(28.6) | 11(31.4) | 0.170 |
| 診断区分:IGT、人(%) | 9(25.7) | 15(42.9) | 18(51.4) | 0.082 |
| 診断区分:IFG+IGT、人(%) | 9(25.7) | 10(28.6) | 6(17.1) | 0.505 |
AT:有酸素トレーニング、RT:レジスタンストレーニング、WHR:ウエスト・ヒップ比、IFG:空腹時血糖異常、IGT:耐糖能異常。HOMA2-IRとHOMA2-βは、インスリン抵抗性とβ細胞(インスリンを出す細胞)の機能を評価するためにHOMA2モデルのソフトで計算した。HbA1cのmmol/mol表示の行は省略。
3.3. 体組成の変化
12か月のトレーニング後、WHR、BMI、SATに群間の有意な変化はなかった。筋肉量は、RTで有意な増加(Δ0.17 ± 0.93 kg)がみられ、ATおよびCG(対照群)との差が有意だった(それぞれP = 0.031、P = 0.045)(表2、補足資料)。VATは、CGよりもATとRTで大きく減った(群×時間の交互作用 P = 0.006)。SATには群間の大きな変化はなかったが、群内の解析では、運動群でSATの変化に有意差があった(P = 0.001)。BMIは、トレーニング期間中にRTでのみ有意に下がった(P = 0.001)(図2)。
図2:BMI、総コレステロール、SAT、HbA1cの群内でのベースラインと追跡時の比較。(図は原論文で見られます:原文の図2)
3.4. 血中脂質の変化
総コレステロール(TC)、中性脂肪(TG)、HDL、LDLには、CGと2つの運動群のそれぞれとの間に有意差はなかったが、ATではTCがベースラインより0.22 ± 0.67 mmol/L下がった(P = 0.032)(図2)。
3.5. 代謝指標の変化
介入後、FPGの低下は運動群でみられ、CGではみられなかった(群×時間の交互作用 P = 0.004)。FI、2hPG、HbA1c、HOMA2-IR、HOMA2-βには有意差はなかった。群内の解析では、HbA1cの低下はATでのみみられた(群×時間の交互作用 P = 0.033)。
3.6. 病態の移行の変化
介入後、前糖尿病から糖尿病に移行した人数には、対照群と比べてATとRTで有意差があった(それぞれP = 0.031、P = 0.011)(表2)。
| 項目 | AT(n = 35) | RT(n = 35) | 対照(n = 35) | 交互作用P | AT vs RT | AT vs 対照 | RT vs 対照 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| BMI(kg/m²)後 | 22.08(21.10, 25.58) | 24.60(21.67, 26.71) | 25.22(21.43, 26.84) | 0.378 | 0.112 | 0.541 | 0.444 |
| BMI 変化 | −0.33 ± 1.04 | −0.66 ± 1.35 | −0.29 ± 1.19 | ||||
| WHR 後 | 0.89(0.83, 0.91) | 0.87(0.84, 0.93) | 0.88(0.85, 0.93) | 0.845 | 0.553 | 0.75 | 0.32 |
| WHR 変化 | −0.006 ± 0.05 | −0.001 ± 0.04 | −0.007 ± 0.05 | ||||
| 筋肉量(kg)後 | 38.50(34.80, 42.40) | 41.30(38.40, 49.50) | 39.80(34.00, 49.00) | 0.112 | 0.031 | 0.892 | 0.045 |
| 筋肉量 変化 | −0.28 ± 0.70 | 0.17 ± 0.93 | −0.35 ± 1.56 | ||||
| 内臓脂肪 VAT(cm²)後 | 130.38 ± 49.07 | 135.27 ± 60.63 | 147.58 ± 54.77 | 0.006 | 0.469 | 0.001 | 0.014 |
| VAT 変化 | −19.87 ± 26.14 | −12.75 ± 36.88 | 5.40 ± 36.24 | ||||
| 皮下脂肪 SAT(cm²)後 | 185.23(147.01, 215.12) | 177.33(136.23, 200.17) | 189(166.32, 226.88) | 0.665 | 0.545 | 0.087 | 0.056 |
| SAT 変化 | −18.44 ± 47.48 | −22.10 ± 43.22 | −11.02 ± 63.54 | ||||
| 総コレステロール(mmol/L)変化 | −0.22 ± 0.67 | −0.11 ± 1.02 | 0.02 ± 0.55 | 0.541 | 0.892 | 0.347 | 0.341 |
| 中性脂肪(mmol/L)変化 | 0.03 ± 0.55 | 0.09 ± 0.51 | 0.19 ± 0.59 | 0.457 | 0.92 | 0.29 | 0.28 |
| 空腹時血糖 FPG(mmol/L)後 | 5.64 ± 0.66 | 5.66 ± 0.81 | 5.99 ± 0.92 | 0.004 | 0.473 | 0.014 | 0.003 |
| FPG 変化 | −0.19 ± 0.48 | −0.17 ± 0.60 | 0.28 ± 0.82 | ||||
| HbA1c(%)変化 | −0.15 ± 0.25 | −0.06 ± 0.25 | 0.07 ± 0.47 | 0.033 | 0.107 | 0.050 | 0.653 |
| 総摂取カロリー(kcal)変化 | 142.92 ± 271.37 | 94.25 ± 217.88 | 43.29 ± 188.39 | 0.315 | 0.697 | 0.211 | 0.387 |
| 12か月後に正常耐糖能、人(%) | 10(28.6) | 8(22.9) | 3(8.6) | — | 0.584 | 0.031 | 0.101 |
| 12か月後に糖尿病、人(%) | 3(8.6) | 2(5.7) | 10(28.6) | — | 1.000 | 0.031 | 0.011 |
正規分布しない項目は中央値(25パーセンタイル, 75パーセンタイル)。原文の表2のうち、群の主効果のP値、LDL・HDL・食後2時間血糖・空腹時インスリン・HOMA2の行、12か月後のIFG・IGT・IFG+IGTの人数は省略。完全な表は原文を参照。
4. 考察
私たちの知る限り、本研究は、前糖尿病の参加者を対象に、12か月のRTとATの効果をCGと比べて、腹部の脂肪組織と代謝指標について調べた初めての3群ランダム化比較試験である。主な結果は、2つの運動群がともにCGと比べてVAT(CT画像で評価)を減らし、運動群どうしの間には統計的な差がなかったことである。この結果は、レジスタンストレーニングと有酸素トレーニングをそれぞれ週180分行うと、3か月後[16]と4か月後[15]にVATが有意に減ったことを示した先行研究と一致する。一方、Leeら[17]は、肥満の思春期女子で、VATの有意な減少がATではみられたがRTではみられなかったと報告している。研究間のこの違いには2つの理由が考えられる。1つ目は、研究対象の違いである。本研究の参加者は、平均年齢62.20 ± 7.32歳、平均BMI 24.35 ± 3.43の、中高年の男女の前糖尿病患者だった。性別、年齢、BMIの違いは大きな差を生みうる。2つ目に、彼らの研究では内臓脂肪の量をMRI(磁気共鳴画像)で測っていた。
本研究では、ゴムバンドを使い、各人の1RMの50〜60%の負荷でレジスタンス運動を行う12か月の運動プログラムのあとに、全身の筋肉量の増加(0.17 ± 0.93 kg〔0.4%の増加〕)がみられた。この結果は、レジスタンス運動が筋肉量を増やすのに有効であることを示した先行研究[16, 18, 19]と一致する。ただし、本研究のRTでの筋肉量の増加は比較的小さかったことに注意が必要である。先行研究との違いには2つの理由が考えられる。1つ目は、器具の違いである。本研究ではゴムバンドでレジスタンストレーニングを行ったが、先行研究ではウエイトマシンを使っていた。2つ目に、年齢の違いが差を生んだ可能性がある。先行研究の参加者は思春期の男子(12〜18歳)だったが、本研究の参加者は平均年齢62.20 ± 7.32歳の高齢の前糖尿病患者だった。同じ1RMの50〜60%でも、高齢の前糖尿病患者の負荷の絶対的な重さは、思春期の男子よりずっと軽かった。骨格筋量は、慢性心不全患者の予後の独立した予測因子である[20]。筋肉量が少ないことは心血管疾患と関連していると報告されており[21]、レジスタンス運動は筋肉量と筋持久力を増やす点で有酸素運動より優れ、それによって末梢の動脈壁の構造と機能を改善する[20]。したがって、レジスタンストレーニングには、有酸素トレーニングにはない心血管への追加の利点があるかもしれない。
本研究ではまた、RTとATのいずれもCGと比べてFPGを有意に下げることがわかった。これと一致して、Bacchiら[15]は、4か月の介入後にFPGが両方の運動群で同じように下がったことを示している。Ibanezら[22]は、2型糖尿病の成人で、16週間の漸進的レジスタンストレーニングのあとにFPGが有意に下がったことを見いだしている。
12か月の介入後、1年間の糖尿病の発症率は、AT群で8.6%、RT群で5.7%、対照群で28.6%だった。前糖尿病から糖尿病に移行した人数には、有酸素トレーニング群とレジスタンストレーニング群のどちらでも、対照群と比べて有意差がみられた。この結果は、生活習慣への介入が糖尿病の発症を効果的に減らすという観察と一致した[3, 23, 24]。ただし、本研究の対照群の年間の糖尿病移行率(28.6%)は、大慶研究(12.5%)やDPP研究(11%)より高かったことは述べておく価値がある。考えられる理由は、本研究の患者の平均年齢が60.31 ± 7.56歳と大慶研究やDPP研究よりずっと高かったこと、そして本研究の女性(65人)が全員閉経後だったことである。年齢と閉経はどちらも大きな差を生みうる。
本研究の強みは、ランダム化比較試験のデザインであることと、介入の継続率が高かった(89%)ことである。さらに、本研究は厳密に管理された有効性の研究で、すべての運動を監督のもとで完了した。何より、データ解析はITTの原則で行った。しかし、人数が十分でないことが、一部の結論の検出力を制限している可能性がある。
結論として、本研究の結果は、前糖尿病の成人において、レジスタンストレーニングと有酸素トレーニングのどちらも腹部の脂肪組織と空腹時血糖を減らすことを示している。ただし、筋肉量を増やすのに有効なのは、有酸素トレーニングではなくレジスタンストレーニングだけである。
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出典・ライセンス
Juan Yan, Xia Dai, Jitao Feng, Xiaodan Yuan, Jianing Li, Lihong Yang, Panpan Zuo, Zhaohui Fang, Chao Liu, Cunyi Hsue, Junya Zhu, Joshua D. Miller, Qingqing Lou. Effect of 12-Month Resistance Training on Changes in Abdominal Adipose Tissue and Metabolic Variables in Patients with Prediabetes: A Randomized Controlled Trial. J Diabetes Res 2019;2019:8469739. 公開日:2019年10月16日. DOI: 10.1155/2019/8469739
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